プレスリリース
橘 省吾(宇宙惑星科学機構 教授/JAXA宇宙科学研究所 特任教授)
東京大学大学院理学系研究科の橘 省吾さん,九州大学大学院理学研究院の岡崎 隆司さんらが回収した「はやぶさ2」再突入カプセルのサンプルコンテナ内に小惑星Ryugu(リュウグウ)由来のサンプルが確認されました.回収された試料は分析班メンバーが中心となって,2021年夏以降に分析が進められる予定です.
東京大学大学院理学系研究科の橘 省吾さん,九州大学大学院理学研究院の岡崎 隆司さんらが回収した「はやぶさ2」再突入カプセルのサンプルコンテナ内に小惑星Ryugu(リュウグウ)由来のサンプルが確認されました.回収された試料は分析班メンバーが中心となって,2021年夏以降に分析が進められる予定です.
北海道大学低温科学研究所の大場康弘准教授,海洋研究開発機構の高野淑識主任研究員,九州大学大学院理学研究院の奈良岡浩教授,東北大学大学院理学研究科の古川善博准教授,東京大学大学院理学系研究科の橘 省吾教授らの研究グループは,世界で初めて炭素質隕石からヘキサメチレンテトラミン(HMT)という有機分子の検出に成功しました。
星・惑星系誕生の場である星間分子雲に存在する水やアンモニア,メタノールなど比較的単純な構造を持つ分子は,極低温(-263℃)環境での光化学反応によってより複雑な構造を持つ分子へと変化し,その一部は惑星系形成時に星の材料として取り込まれます。そのため,小惑星のかけらである隕石に含まれる有機物は星間分子の寄与があると考えられています。HMTは星間分子雲で起こりうる光化学反応の主要生成物のため,太陽系形成の材料になったとしても不思議ではありませんが,これまでにHMTが隕石など地球外物質の分析で検出されたことはありませんでした。
本研究グループは,マーチソン隕石をはじめとする3種の炭素質隕石から世界で初めて隕石固有のHMT検出に成功しました。隕石中HMTは主に太陽系形成(約46億年前)以前に星間分子雲で生成したと考えられ,これまで隕石から確認された中で最古の有機分子であるだけでなく,隕石に存在するアミノ酸や糖など種々の有機化合物生成に不可欠な分子です。探査機「はやぶさ2」によって採取され,まもなく地球に帰還予定の小惑星リュウグウのサンプルにも同様にHMTが存在することが予想されるため,本研究成果は宇宙における分子進化解明の糸口になると期待されます。
詳細については、以下をご参照ください。
UTOPSのTwitter、 Instagramを始めました。
研究者の日頃のつぶやきを載せております、是非ご覧下さい。
https://www.instagram.com/utops_sos/
3月9日に東京大学本郷キャンパスで予定しておりました宇宙理工学連携研究機構シンポジウム
「宇宙理工学の現状と未来を語る」に関しまして、ご連絡いたします。
新型コロナウィルスの感染拡大の状況も踏まえまして、本シンポジウムの開催を見送ることにいたしました。
状況が落ち着きましたら同様の会を改めて企画したいと思っておりますので、その際には皆様にまたご連絡申しあげます。
(2020/2/27)
---------
全学連携研究機構:宇宙理工学連携研究機構の発足記念シンポジウムを
3/9(月) 東京大学理学部1号館 小柴ホールでおこないます。
日時:2020年3月9日(月)9:50-17:00
場所:東京大学本郷キャンパス理学部1号館小柴ホール
近年日本の宇宙理工学の発展は目覚ましく,「はやぶさ2」の小惑星リュウグウへの着陸や大学発の超小型衛星による深宇宙探査機運用など世界をリードしています.
東京大学では複数部局にわたる惑星科学,天文学,宇宙工学などの研究者が集結することで,大学発の超小型惑星探査などを推進し,新たな学問分野の創出を目指すべく,令和元年10月に宇宙理工学連携研究機構(Collaborative Research Organization for Space Science and Technology, 略称: CROiSSanT)が発足しました.
これを受けて CROiSSanT では,大学における宇宙理工学の現状と未来を自由に語るシンポジウムを開催いたします.
[プログラム]
9:30 受付開始
9:50 開会挨拶 星野 機構長
9:55 来賓挨拶 相原 大学執行役・副学長
【第1部】太陽系探査と観測天文学の現在地
10:00 小惑星探査機はやぶさ2の見た太陽系初期進化(杉田 精司・東大理)
10:20 惑星環境探査の現状と展望(今村 剛・東大新領域)
10:40 系外惑星探査の現在地と今後どこを目指すか(河原 創・東大理)
11:00 超小型衛星による深宇宙探査のこれまでと今後の展望(船瀬・宇宙研/東大工)
11:20 膨張する宇宙と恒星の終末(土居 守・東大理)
【第2部】宇宙理工学教育
11:40 新領域創成科学研究科の深宇宙探査学教育プログラム紹介(鈴木 宏二郎・東大新領域)
11:50 宇宙理工学教育でのあたらしい取り組み〜博士人材の育成と幅広い世代へのアプローチ〜(馬場良子・東大理)
昼食
【第3部】宇宙理工学の推進
13:20 超小型機の機動性を活かした国際彗星探査への参加:Comet Interceptor(笠原 慧・東大理)
13:40 複数機の超小型衛星による天文観測(五十里 哲・東大工)
14:00 超小型衛星を用いたX線天文観測(馬場彩,小高 裕和・東大理)
14:20 超小型火星ランダーTEREX計画(川端 洋輔・東大工)
14:40 超小型衛星を意識した光学観測の技術開発(吉岡 和夫・東大新領域)
15:00 超小型衛星と地上望遠鏡との連携(宮田 隆志・東大理)
15:20 展開型エアロシェルを利用した超小型惑星探査プローブ SPUR(山田 和彦・宇宙研)
15:40 休憩
【第4部】パネルディスカッション
16:00-17:00
1. 超小型衛星〜本格的科学探査に乗り出すには
2. 連携・人材交流
司会:中須賀 真一(東大工)
登壇予定:鈴木 宏二郎(東大新領域),船瀬 龍(宇宙研/東大工),杉田 精司(東大理),國中 均(宇宙科学研究研 所長),常田 左久(国立天文台 台長),倉田 佳奈江(文科省)他
終了後,小柴ホール前ホワイエで立食パーティをおこないます.
主催:東京大学 宇宙理工学連携研究機構
協力:東京大学 理学系附属宇宙惑星科学機構
東京大学 国際オープンイノベーション機構
2019年7月27日(土)、28日(日)の2日間、本郷キャンパス理学部1号館に、長野県松本深志高等学校の生徒を迎えて、天文学実習を行いました。高校生は「考える」ことに重点を置いた研究テーマに取り組むこととあわせて、日常、学生が使用する講義室で実習を行ったり、大学食堂で食事をしたりしながら大学生活を体験することで、自分たちの具体的な将来像も体感することが出来たようでした。
参加者:長野県松本深志高等学校生徒20名、教員1名
主催:長野県松本深志高等学校
共催:宇宙惑星科学機構(UTOPS)
本実習は長野県「子どもの未来支援基金」サイエンス・アソシエーション・プロジェクト事業の支援を受けて開催されました。
はやぶさ2に搭載されているカメラで得られたリュウグウの画像や、これからはやぶさ2で展開されるサイエンスについて、中高生の皆さんと研究者が対話するイベントを2019年8月23日に行いました。
参加者の皆さんには、事前にニュースやウエブ上の情報をもとに質問を考えてきてもらい、当日は研究室を訪問しながら最前線の研究者に質問・対話をしました。はじめは緊張していた参加者も、アイスブレイクとして行ったイトカワ粒子のトレーディングカードを使ったゲームや、研究者が中高生の頃に興味があったことについての紹介では、笑顔で話をしていました。研究者と一緒にお昼を食べながら交流を深め、研究者との対話とサイエンスを楽しんでいました。
(2019.8.23)