宇宙惑星科学機構の概要

機構長:橘 省吾

本機構は、人類の根源的問いである宇宙や惑星の謎を解き明かすため、

・我々が住んでいる宇宙の銀河や星は、いつ、どのようにして生まれ進化してきたのか?

・太陽系はどのような過程をへて現在の姿になったのか?

・太陽系外の惑星の多様性はどのように生まれたのか?

について追求し、惑星科学および天文学を総合的に推進します。そのために本機構では、卓越性と多様性を兼ね備えた教育研究組織を専攻・施設を越えて構築し、多様な分野間連携による新分野開拓を促進することで大学における研究力を高めます。探査・観測においては、スケールメリットを活かしながら宇宙理工学に共通的なインフラを整備して、我が国の旗艦プロジェクトに積極的に貢献していく次世代の人材育成を行います。

具体的には、惑星探査においては、系外惑星を含めた惑星研究のための最先端機能を持つ超小型衛星や探査機、搭載装置を従来衛星に比して圧倒的な低コストで製作し、JAXA大学共同研究システムや相乗り衛星公募など学外のロケット打上げ機会を利用して観測を実施します。また、チリ共和国の世界最高地点に建設中の口径6.5mの大型望遠鏡TAOや、広視野木曽シュミット望遠鏡を活用して、地上観測を実施します。超小型惑星衛星・探査機と地上望遠鏡を連携させ、太陽系内外の惑星系形成・進化に関する現代天文学・惑星科学の重要問題を理工連携の下で解き明かします。さらに地上望遠鏡と超小型惑星探査の間では、光学計測機器の技術開発の共通化と乗合いを進め、開発の効率化と技術水準の高度化を目指します。

宇宙惑星科学は、理学系研究科の各専攻の学際領域に位置する重要な学問分野です。天文学や地球惑星科学は言うまでもなく、物理学や化学とも関連をもち、さらには宇宙での生命探査や生命の起源の研究にもつながる生物学との連携も可能となりつつあります。その特長をいかして系外惑星観測と太陽系探査機とを組み合わせた汎惑星科学や惑星のハビタビリティー(生命存在の可能性)の解明など、新たな学術分野を開拓してきます。研究対象が太陽系内から系外に広がりつつある惑星科学はもとより、天文学・天体物理学のさらなる発展にも貢献することが期待されます。また本機構で生まれる技術は、人材育成や技術移転を通じて科学衛星以外にも適用可能であり、日本の宇宙産業全般の競争力向上にも広汎な波及効果を持ちます。

<外部評価>2020年実施

実施計画書(和文:97~99ページ、英文:100~102ページ)

評価報告書(和文:10ページ)

http://www.eps.s.u-tokyo.ac.jp/年次報告・外部評価.html