超小型極端紫外線望遠鏡の組み立ての様子
超小型衛星による挑戦的惑星探査
教授 吉川一朗(新領域創成科学研究科 複雑理工学専攻)
講師 吉岡和夫(新領域創成科学研究科 複雑理工学専攻)
私たちは、惑星や地球を周回する人工衛星に搭載する観測装置を開発し、地球や惑星の大気・プラズマ(電離大気)の放射する光を測定することにより、それらの空間的な分布や運動、エネルギーの流れを理解することを目指しています。その目的を大きく2つに分けると、(1)地球のような大気をもつ惑星が誕生する条件の推定、(2)惑星の大気・プラズマが引き起こす短期的(現象の終始が観測できる程度の時間スケール)な現象の物理過程の理解、を目指しています。
(1)の目的を達成するためには、地球や惑星が誕生した時代にまで遡り、大気の長期的な変遷について理解する研究が必要です。そのような推定は難しいのですが、太陽系惑星の現在の姿や、太陽系外惑星を観測することによって可能になると考えています。また(2)の目的は地球や惑星で起きる未解明な問題の解決が求められます。例えば、水星の大気は宇宙空間に散逸されやすく惑星周辺での滞在時間は短いと考えられています。したがって現在の大気構造を維持するためには時々刻々と供給されているはずなのですが、その物理過程が理解されていません。また、地球や木星のように磁場を持つ惑星の周辺には、相対論的な高エネルギー粒子が高密度で集まっている領域(放射線帯と呼ばれています)がありますが、どのようにしてそのような高エネルギー粒子を生成・供給しているのかは分かっていません。
超小型衛星エクレウスによる地球周辺の冷たいプラズマの観測
超小型極端紫外線望遠鏡の組み立ての様子
研究室ホームページ2018年に打ち上げが計画されているNASAのSLS計画に東京大学は参画しています。非常に小さい(10cm×20cm×30cm)の超小型探査機を東京大学(工学部)が中心となり開発し、そこに超小型の極端紫外光望遠鏡を搭載します。現在(2017年3月)は開発の真最中で、これから1年以内に、宇宙に打ち上げる観測装置を完成させます。
研究室ホームページ
http://www.astrobio.k.u-tokyo.ac.jp/yoshikawa/